月刊プレイボーイ日本版
インタビュー
2002年7月号より転載
出演「山本晋也」
インタビュアー「上之二郎」
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■ vol.1 ■
つい「監督」と呼んでしまう人。だが、21年の長きにわたって続いた「トゥナイト」を振り返るその顔には、味わい深い「監督」の相貌があった。軽妙な語りの中に、ストイックに自分を律しながら、性の表現者として戦ってきた男の自負と哲学が迸(ほとばし)る。日本人の性的衰退は、大人文化の衰退があると指摘するその目は意外なほどに鋭い。

(プレイボーイ/以下PB)
そもそも「トゥナイト」で風俗レポートを始めたきっかけは?
(監督)
その前に「11PM」というのがありまして、この番組で視聴率強化月間に女の裸をやろうとした訳ですが、テレビ局自体に女の裸や情事のシーンの素材がない訳ですよ。それで日活のロマン特集や女優特集をやったのですね。これをやるとレーティングが上がるというんで、強化月間のたびにゲストで呼ばれていたんですよ。これが好評で「トゥナイト」が始まる時にプロデューサーからお呼びがかかった訳です。
(PB)
21年前ですよね。監督はお幾つだったんですか?
(監督)
39歳でした。最初はあたし、レポーターと言う意識はなかったんですよ。ちょうど歌舞伎町あたりで、誰も考えもしなかったような商売が出始めておると。映画のロケハンを兼ねてそういう所を見に行きたいなぁって言うのがあったんですね。だったら、それをレポートしたら番組になるんじゃないかっていう非常に安易な発想で始まった訳ですよ。ところが現場に行くと、どこも取材はダメとの一点張りでね。しょうがないんで、ライトを点けて突然地下の部屋にダーッと突入する訳ですよ。すると全員がバーッと顔を隠してしゃがみ下を向いちゃう。それがやけにセクシーでね。超ミニでパンストだけ穿いている女の子達が、かがんだところを撮る訳ですから。そこへあたしがマイクを向けてインタビューする訳ですよ。
(PB)
怖いお兄さんとか出てきませんでした?
(監督)
しょっちゅうでしたね。店からの電話を受けてVTRを奪おうとする訳ですよ。そうは行かないと言うんで、カメラマンがVTRをポーンと抜いてあたしに渡し、それをポケットに隠して、客のような顔をして出て行きまして、歌舞伎町を走って逃げるんです。そのおかげで歌舞伎町の裏道と言う裏道はくまなく知り尽くしてしまいました。あの細い路地を抜けて行くとあの店の調理場の裏の出口があって、そこから店の中を通って行けば表通りに出られるとかね。そんな事もあって新宿の「さくら通り」は昔「カントク通り」とかって言われていたんですよ。その一本区役所側の通りが「トゥナイト通り」って。あのへんの兄ちゃんとか、キャッチの兄ちゃんが「それはトゥナイト通りの角を曲がってパチンコ屋の脇に入って、そのまま行けば」とか言ってましたね。
(PB)
20年前というと、まだ風営法の前ですよね。
(監督)
はい。はい。風営法の前の方が面白かったですね。「占いの館」と称している店がありまして、あくまでも占いをやっていると言うのが建前なんですが、中に入ると棺桶が置いてあるんです。おまけにドライアイスの霧が漂ってまして、それで女の子がスケスケ、スレスレの衣装で出てくる。どうやって遊ぶかって言うと、棺桶を開けて2人で中に入るわけですよ。そこに係りの人が来ましてフタを閉める。で、中でイチャイチャやるという趣向です。時々棺桶のフタがコトコト動いたり、開いたり閉じたりしまして、チラッと一瞬何かが見えるんです。それはもう異様な絵ですよ。そこへマイクを持ってあたしが行く。「もう、ほとんどビョーキ」てぇいうのはこの時出たんですね。ところが、インタビューしている間にだんだん呼吸が苦しくなってくるんですよ。あのドライアイスは酸欠状態になるんです。つまり肝心なところに行くまでに、客も女の子も呼吸困難になっちゃう。しかも、短時間にいかに一杯お客をいれるかという店の計算があったりしましてね。
(PB)
女の子も客も命がけですけど、店側の知恵も凄い。
(監督)
特に関西は凄かったですね。ノーパン喫茶というのがありまして、最初はパンストを穿いていたんですけど、そのうちパンストまで脱がせちゃおうと。で、ヘアーが見えたらダメだと言うんで、毎日女の子にヘアーを剃らせて、それを店長が拡大鏡で確認するんです。それでスジ貼だけをする。これなら文句はないだろうと言う事だったんですけど、ある刑事さんが「体毛と言うのは剃った瞬間から生えてくるものである。だから、いくら剃ったとはいえ、この子が店に出るときにはすでにコンマ何ミリは生えている状況だから、これは陰毛だ」と。こういう会話を業者と取り締まる当局が大真面目に話していたんだから可笑しいでしょう(笑)。

vol.2につづく
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